日本の寄付が少ない要因②
- 投稿日:2023年 4月 9日
- テーマ:その他
日本人の寄付が少ない要因の二つ目に、根深く持つ「自己責任論」が関与していると言えます。
自己責任論とは「自分のしたことで起きた結果は、すべて自分の責任」とする考え方です。
「貧困は社会構造により生み出されるもの」
「生活に困窮するのは、その人の選択のせい」
日本では、このような考えを持つ方も少なくありません。
国際比較調査グループの「ISSP」が、次のような「貧困層」や「失業者」に対する
支援のアンケート調査をおこないました。
・失業者に適切な生活水準を提供することは、政府の責任であると考えている
・低所得家庭の大学生に経済的支援を与えることは、政府の責任であると考えている
・仕事を希望するすべての人に仕事を提供することは、政府の責任であると考えている
いずれの質問に対しても日本人は50%前後の人が「政府の責任」と回答しています。
比べてお隣韓国の結果は、いずれの質問に対しても70%前後の人が
「政府の責任」と回答しており、アメリカでは低所得家庭の大学生への
経済支援については90%以上の人が政府の責任としています。
GDP比の一般政府支出額や人口あたりの公務員数から見て、
日本は世界有数の「小さな政府」と言われており、
政府が提供する公共サービスは世界に比べて貧弱になります。
人口増加、高度経済成長時代では、企業が「貧困層」や「失業者」
そして福祉の一翼を担ってきました。
しかし平成になると雇用形態も変わり、
家族にその負担が大きくのしかかっているのです。
外国であれば、「自己責任」と政府が言うものなら
暴動が起こり兼ねない状況ですが、
日本人は「全て自分の責任」と声を上げることすらも
忘れてしまったようですね。
この「自己責任論」が、社会への無関心を助長し、
思いやりのない格差社会をつくっていると思われます。
つづく
石川シュウジ