漆革【印伝】とは
- 投稿日:2023年 5月16日
- テーマ:その他
母の日に次男が印伝の財布を贈ってきた。伝統的な柄ではなく、母の日の限定のアッシュローズ柄というものでとても華やか。妻もたいそう喜んでいますし、有難いことですね!
NHKの番組「美の壺」では、「粋を持ち歩く印伝」と紹介され、私もいつかは印伝の小物を持ちたいと願っていたが、妻に先を越されてしまい少し悔しい気持ちもあります。
さて印伝とは、鹿革に漆で柄を付ける「漆付け技法」が一般に知られているが、その歴史は、漆革(印伝)では1300年、甲州・甲府印伝では300年に及びます。戦国時代には鎧や兜に使われていた漆革(印伝)ですが、江戸時代に入ると巾着や財布、タバコ入れなど、実用とお洒落を兼ね備えたオシャレアイテムとして庶民に愛され、"粋"を競い合ったようです。
私は印伝は鹿革だと思っていましたが、最高級品はキョンの皮を使います。実はこのキョンは、台湾・中国原産の鹿の仲間ですが、千葉と東京の伊豆大島で大量発生していて、農作物や自然生態系の破壊が大きな問題となっています。
しかしこの事実は日本でほとんど知られておらず、私たちは革の利用のためだけに中国でわざわざ養殖されたキョンの革を年間数十万頭分も輸入・利用し、その一方日本で捕獲したキョンはまったく利用することなく、その命を奪い、ただ投棄しているのが実情です。
昨年私は、千葉県にある会社「Hunt+( ハント・プラス)」を訪問。
ここでは野生動物との共生・管理の考えから千葉県で急増する外来種
の小さな鹿"キョン"を捕獲し、その革を使って小物入れやアクセサリー
などを制作・販売しています。その名も『房州印伝』。まだまだ知名度
はありませんが、日本史上初の純国産キョン革の印伝になります。
私はこちらを購入しようかと考えています。
石川シュウジ