コモディティ化されにくい人材
この本の著者瀧本哲史氏は、人材の「コモディティ化」が進行すると警鐘を鳴らしている。
コモディティ化とは、市場に出回る商品が個性を失い、もはや差別化できない状態。商品の質が変わらないのだから、需要は安いものに集まるというわけだ。
この現象は人材にも起こる。つまり、個性がなければ人と人とを差別化するのは「価格」、つまり「賃金」でしかなくなってしまうのだ。結果、労働力が買い叩かれてしまうというのが、瀧本氏の考え方だ。
この本は2013年の出版であるが、なるほどと頷いてしまう。
世界のグローバル化が進むにつれて、人間のコモディティ化も避けられないという現実を見せつけられた。
今後AI化が進めば益々、人材のコモディティ化は加速する。
だからこそコモディティ化「されにくい」人材になる必要があると滝本氏は説く。
「変革者は、危機に陥っている分野に登場した新人であって、古いパラダイムで決定される世界観やルールにとらわれず、他のものを考えようということになりやすい」
これまでもイノベーションは「新人」をリーダーにしたチームで起こる。
新人というのは、新しい理想を掲げられる人である。
カリスマ性がなくともよく、欠陥だらけでも「突破力」があれば良い。
ゲームは変わった。良い学校に入って、良い会社に入れば安泰、というゲームではなくなったということだ。いま「生き残る」には、その人特有のスペシャリティが必要になる。それがリーダーシップだったり、実績に裏打ちされた職能だったりするわけだ。
さらに言えば、組織が「スペシャリティの集合体」になるには、異なるバックグラウンドを持つ「異質者」がたくさん集まらなければならない。安定し、普通を求めて活動する大企業が衰退するのは、組織が同質化し、イノベーションが起こらなくなるからだ。
さてたった4人の会社は、まずはそれぞれがスペシャリストでないと生き残れないということだね!