逆縁の悲しみ
- 投稿日:2023年 3月12日
- テーマ:その他
土曜日の朝、妻利佳子の山形市内に住む従兄が亡くなったとの知らせが入った。
丁度妻の実家のある仙台に行こうとしていた矢先だったので、仙台で母を拾って山形に向かう。
母からすれば甥の訃報であるし、母の姉(故人の母)も健在なので弔問したいというのが人情である。
山形のご自宅に到着すると故人は静かに安置されており、三人で手を合わせる。
故人は享年73歳であるが、そのお母様がご健在であり御年99歳。
現在は介護老人保健施設に入っているが、許可をとって2時間程息子の
黄泉の国への旅立ちのために一時帰宅した。
「私より先に逝くなんて、どうしてなの?」
「病院から退院して自宅に戻ったと聞いたので、元気になったと思っていたよ。」
「口は悪いが、心根は良い息子だった。」
「最後は苦しんだのかい?」
故人に優しく話しかける老婆ではあるが、発する言葉一つ一つに
母親としてやるせなさと深い愛情を感じる集まった血縁者たち。
故人に声を掛ける度にむせび泣きが広がっていきます。
悲しい出来事ではありますが、この家族の普段の繋がりが垣間見え
温かさを感じた時でもありました。
親よりも先に子が亡くなること、死ぬ順番が違うことを「逆縁」というようです。
私も親の立場で考えると、逆縁の辛さは親不孝のなにものでもありません。
決して誰も望んでいる結末ではありませんが、今後人生100年時代を迎えると、
今回の様な逆縁の悲しみは残念ながら増えていく事例のように思えます。合掌
石川シュウジ