「しあわせの家」について考えてみましょう!(その1)
- 投稿日:2017年 4月27日
- テーマ:住まい
麗澤大学経済学部教授 清水千弘より
「家(いえ)」を「買う」ということは、何か?
住宅ビジネスに関わるものは「家(いえ)」とは何か、どうして人は家を買うのか、ということを正確に理解しておく必要があります。
まず「家」とは何か、「買う」とは何かを考えます。
古くは、「家」は男の甲斐性とみられていた地域があります。嫁入りする女性が家財道具などを用意する代わりに、それを迎える男性は家を建てるという風習があ る地域がありました。家を「買う」または「建てる」ということは、男にとって独り立ちをするという通過点であり、その大きさは"甲斐性"の象徴であったといえます。
また、株や不動産が大きく上昇していたバブルまっただ中では、家は資産の象徴でありました。バブル期だけでなく、戦後の日本の住宅価格は1990年のバブル崩壊に至るまでは右肩上がりで上昇してきたため、それを持つことで大きな資産を手に入れることができた訳です。つまり、家とは日本人にとって経済的な甲斐性を示す尺度であり富の象徴だった、と言っても良いでしょう。
次に「買う」ということを考えます。
私たちがものやサービスを買うとき、それに支払う対価として「おいしい」「気持ちいい」などといった効用を期待して購入します。つまり、大小にかかわらず「しあわせ」な気分を味わうために「買い」、お金を支払います。その上で、住宅とは「投資」という側面もある訳です。
スタンフォード大学のルーエンバーガー教授は、"「投資」とはのちの利得を得るための現時点で行う「資源の契約」である"と定義しています。家に投資をする ということは、その家を手に入れることで後に発生する利得を手に入れるために、現在において何千万ものお金を使うという契約をするといえます。ということは、その何千万円もの対価として、将来において「幸せ」な気分を味わうことが期待されているはずなのです。
続く・・・