当事者と一緒に生きる覚悟
- 投稿日:2021年 10月10日
- テーマ:理念
昨日わざわざ宮城県から会社までご来店された方がいた。
ローカルジャーナリストの寺島英弥さん。
私のフェイスブックの投稿を見て、取材をしたいとのお申し出だった。
震災当時に2千台もの自転車を被災地に配った台湾の自転車メーカーがある。
ジャイアントのことを、私が追跡していることが目にとまったらしい。
寺島さんとは初めてお会いするのだが、柔和なお人柄につられ、
ついついしゃべり過ぎてしまったことを反省している。
東日本大震災から10年の節目の今年、コロナ禍の中で様々な節目のイベントが縮小を余儀なくされてきた。
名ばかりの復興五輪とは分かっていても、ここまで被災地を蔑ろにしたイベントはないだろう。
五輪精神という理念さえも霞む、単なる商業イベントに虚しさが残るだけであった。
10年経つと震災当時の思い出が次第に薄れてきている。
生涯忘れることのない大きな傷跡だと自分も思っていたが、
当時の自身の行動でさえ曖昧になってきている。
寺島さんは、河北新報の元記者。震災当時から編集委員として、
原発事故の被災地など、地域の当事者の声を発信する手助けをしている
東北のローカルジャーナリストである。
寺島さんの活動の原点は、当事者たちと同じ時間を共に生き、
その声の発信を助けて外の人につなぎ、歳月を超えて伝え続ける者が、
あらゆる被災地にいてほしいという願いである。
初めて聞いたローカルジャーナリストという定義であるが
これ名乗るには相当の覚悟がいる。
寺島さんのホームページには、これまでの活動記録がある。
特にギャラリー「被災地取材の記録、出会った人々の記録」を
ご覧になって欲しい。忘れさられていく記憶が蘇るとと共に
その場で生きた人間の心の機微も見えてくる。
寺島さんからは、常に当事者と一緒に生きる覚悟が伝わってくる。