「しあわせの家」について考えてみましょう!(その3)
- 投稿日:2017年 4月29日
- テーマ:住まい
麗澤大学経済学部教授 清水千弘より
どのように「しあわせの家」を手に入れるのか?
このように整理 してみると「家をどうして買うのか」という問いに対して、私たちは広い意味で効用・利得を得る、つまり「しあわせ」になるために家を買うと定義しても良いのです。そのためには、現在の日本においては、資産価値の変動から解放されることが何よりも重要であり、住まうことによって得られる効用または利得が重要になってきます。とすると、その空間と時間を特に誰とどのように共有するのか、といった問題を重視しないといけない。一人で過ごすのか、他人と時間と空間を シェアして過ごすのか(シェアハウス)、家族と過ごすのか、どのように過ごすのかといったことを明確に定義した上で、人と家とをマッチングしていかなけれ ばなりません。
そのマッチングにおいては,科学技術の進化は人々の消費行動を変化させて(IT技術による住宅市場の変化)、そこに介在する専門家のあり方をも変化させます(住宅市場の専門家の役割)。
さらには住宅の中で過ごした時間から得られる効用を最大にしようとすると、その家の中に住む人、家族の変化に応じて家もまた変わっていかなければなりません。家に要求される性能は、そこに住む人たちによって変化するためである。そしてそこに住む人たちも、子供は成長し、大人も一年ずつ年をとり、その変化に 応じて「しあわせ」に住むための家の条件が変化していくことになります。「家」と「住まう人たち」との間に不一致が存在する場合には、それを修正していかなけ ればならなくなります。いわゆる「リノベーション」が必要になってくるのです。リノベーションとは、単に建物をリノベーションする・汚い部分を綺麗にするという のではなく、新しい思い出を描くためのキャンバスを作り直す、といった方が正確であると考えています。
続く・・・
「しあわせの家」について考えてみましょう!(その2)
- 投稿日:2017年 4月28日
- テーマ:住まい

麗澤大学経済学部教授 清水千弘より
「家を買って幸せになる人と不幸になる人」
もう少し投資について深く考えてみましょう。
投資から得られる利得は投資期間中に発生するキャッシュフロー、つまり家賃収入と(価格が上昇していれば)売却時に得られる売却益から構成されます。そうす ると、たとえ価格が下落し、売却益がマイナスであったとしても、投資期間中の家賃収入の合計が売却損よりも上回っていれば、投資の利得はプラスだということが出来ます。
これを自分で利用するということで考えれば、キャッシュフローは住宅に住むことによって得られる「満足度」「しあわせ度」となる。住むことによって得られ た「しあわせ度」の合計がゼロのような人は(またはそのようなしあわせを重視しないで購入したような人は)購入後に発生する建物の「経年減価」やマクロ環 境の変化に伴う資産価値の変動によって「利得」が負になってしまう確率が高くなります。
逆に経年減価や人口減少などに伴うマクロ的な価格下落が発生したとしても、住むことの「しあわせ度」が十分に大きければ、そのような住宅投資によって利得を得ることが出来るのです。
そう考えるといくら経年減価が発生しようとも、価格が下落局面にあったとしても、住むことで「しあわせ」であれば投資をすればいいのです。
もし、資産価格の上昇だけが住宅を購入することの利得であるとすれば、今の日本では経年減価率が大きく、マクロ的には大きく上昇することがないため、家を買った人は不幸になってしまうでしょう。
またこのようなことに焦点を当てて政策立案をしようとすると、経年減価率を小さくしようとか資産価値が落ちないようにしようといったことが論点の中心にな る。(※この問題に関しては今後、「日本の住宅の寿命」、または「2040年の住宅価格」といったところでわたしの研究に基づきその成果の一部を紹介した い。)
このような視点に立ったときに、どのタイミングで住宅を買うべきかということは、経済的な基準以外の判断軸が大切となってきます。この問題に関しては、経済学では使用者費用という問題となります。この問題に関する研究成果は、後日「住宅の買い時」といった課題のもとで整理します。
続く・・・
「しあわせの家」について考えてみましょう!(その1)
- 投稿日:2017年 4月27日
- テーマ:住まい

麗澤大学経済学部教授 清水千弘より
「家(いえ)」を「買う」ということは、何か?
住宅ビジネスに関わるものは「家(いえ)」とは何か、どうして人は家を買うのか、ということを正確に理解しておく必要があります。
まず「家」とは何か、「買う」とは何かを考えます。
古くは、「家」は男の甲斐性とみられていた地域があります。嫁入りする女性が家財道具などを用意する代わりに、それを迎える男性は家を建てるという風習があ る地域がありました。家を「買う」または「建てる」ということは、男にとって独り立ちをするという通過点であり、その大きさは"甲斐性"の象徴であったといえます。
また、株や不動産が大きく上昇していたバブルまっただ中では、家は資産の象徴でありました。バブル期だけでなく、戦後の日本の住宅価格は1990年のバブル崩壊に至るまでは右肩上がりで上昇してきたため、それを持つことで大きな資産を手に入れることができた訳です。つまり、家とは日本人にとって経済的な甲斐性を示す尺度であり富の象徴だった、と言っても良いでしょう。
次に「買う」ということを考えます。
私たちがものやサービスを買うとき、それに支払う対価として「おいしい」「気持ちいい」などといった効用を期待して購入します。つまり、大小にかかわらず「しあわせ」な気分を味わうために「買い」、お金を支払います。その上で、住宅とは「投資」という側面もある訳です。
スタンフォード大学のルーエンバーガー教授は、"「投資」とはのちの利得を得るための現時点で行う「資源の契約」である"と定義しています。家に投資をする ということは、その家を手に入れることで後に発生する利得を手に入れるために、現在において何千万ものお金を使うという契約をするといえます。ということは、その何千万円もの対価として、将来において「幸せ」な気分を味わうことが期待されているはずなのです。
続く・・・
































