2023.05.08
「家」を「買う」ということ
(麗澤大学経済学部教授 清水千弘さんより) 住宅ビジネスに関わる私たちは「家(いえ)」とは何か、どうして人は家を買うのか、ということを正確に理解しておく必要があります。まず「家」とは何か、「買う」とは何かを考えましょう。 古くは、「家」は男の甲斐性とみられていました。嫁入りする女性が家財道具などを用意する代わりに、それを迎える男性は家を建てるという風習もありました。家を「買う」または「建てる」ということは、男にとって独り立ちをする通過点であり、その大きさは"甲斐性"の象徴であったといえます。 また、株や不動産が大きく上昇していたバブルまっただ中では、家は資産の象徴でした。バブル期だけでなく、戦後の日本の住宅価格は1990年のバブル崩壊に至るまでは右肩上がりで上昇してきたため、それを持つことで大きな資産を手に入れることができました。つまり家とは、日本人にとって経済的な甲斐性を示す尺度...